フレームは無塗装のものに指定色で焼付塗装してもらいました。ローバーのアーモンド・グリーン同色にしたかったため、都内の中古ローバーを取り扱っている店を探し、日本塗料工業会のサンプルを持ち込んで色合わせをしました。欧州スタンダードと日本のスタンダードが違うため、完全な同一色には成りませんでしたが、かなり近い色になったと思います。
前輪を支えるチューブをフォーク、その上部のチューブをヘッドチューブと言い、ヘッドチューブとハンドルをつなぐパーツを「ステム」と言います。現在、ステムの主流はアヘッドステムと言って、垂直な部材と水平な部材を別パーツとし、剛性やメンテナンス性を高めたものとなっています。しかし、私はそれら部材を一体化した旧来のスレッドステムに拘り、ヘッドチューブにネジを切る加工をしてもらいました。スレッドステムは日本が誇る日東のアルミ削り出し。こういう部材を作らせたら、その精度と美しさで日本製はピカイチです。
そして駆動系のパーツのほとんどを、シマノのアルテグラという軽量なグレードのものを選択しましたが、クランク(=ペダルとフロントギアをつなぐ部材)だけはなぜかイタリア・カンパニョーロ社製のアテナというデッドストック部品に。当時のシマノのデザインが許せなかったのです。合わせて、フロントギアもカンパニョーロになってしまいました。駆動系部品の噛み合わせはデリケートなので、複数のメーカーの製品を混在させることは割と少ないのですが、これがいわゆる「シマニョーロ」ってやつです…
また、ホイールのリム(=タイヤを固定するための円形の部材)ですが、近年ディープリムと言って、断面形状がV字形の空気抵抗が少ないものが流行しているのですが、私は軽さを優先して断面形状が四角い一昔前のものを選び、スポークも手で組んでもらいました。効果は絶大で非常に軽いのですが、登り坂を走らないのであれば、あまり意味はないかもしれません(汗)。
タイヤはロードレーサーにも匹敵すると言われる(?)走行感を持ち、サイドが飴色のデザインが特徴のコンチネンタル社のグランプリで、大変気に入っているのですが、実はこのタイヤは既に廃盤になっており、私の家にはあと数本の買い置きがありますが、いずれ違うものに換えなければなりません。(ちなみに自動車のタイヤで圧倒的な存在感を放つブリヂストンは、自転車ではなぜかフレームメーカーで、タイヤはつくっていないのが不思議ですね…)
以上の結果として、私のモールトンは非常にクラシカルでシンプルな自転車になったように思います。
以上の結果として、私のモールトンは非常にクラシカルでシンプルな自転車になったように思います。
このような作り方をしているものですから、ちょっと目を離すと自転車屋さんが勝手にパーツを変更しようとしたり、なかなか現場監理(笑)が大変でした。本当に建築を作るのと似ているなあと実感しました。自然と、私が付き合う自転車屋さんは、普通の自転車屋が一生に一度外すかどうかという部品を、一日に3回くらい外しているようなマニアックなとこばかりになってしまいます。
このように、フレームを単体で購入し、パーツをそれぞれ選択しながら全体を組み立てるのが、自転車の真の醍醐味だと思いますが、これを「面白そう!」と思った方は、たぶん建築家と家を建てるのに向いています(笑)。「面倒だな…」と引いてしまった方は、建売住宅や売建住宅を買うのに向いていると思います(笑)。
フレーム Pashley TSR 分割(指定色塗装)
ヘッドパーツ Shimano Dura-Ace
リム Velocity Twin Hollow
スポーク Asahi #14
ハブ Shimano Ultegra
クランクセット Campagnolo Athena(175mm)
チェーンリング Campagnolo Record 53-39T
カセットスプロケット Shimano Ultegra
リヤディレイラー Shimano Ultegra
フロントディレイラー Shimano Ultegra
シフター Shimano SL-R770
チェーン Shimano Ultegra
ブレーキキャリパー Shimano BR-650
ハンドルバー Nitto B2520AA 26
ステム Nitto NTC-DX(130mm)
ペダル MKS Promnade-Ezy
サドル SelleSanMarco Regal
タイヤ Continental GranPrix 20x1-1/8(406)
チューブ Panaracer R-AIR
チューブ Panaracer R-AIR
グリップ Herrmans ZEGLO LEATHER